新日本建設コラム
2021.02.16
ハウスメーカーと工務店は何が違う?自分にどちらが向いているか確かめるポイント
家を購入する際、分譲住宅をそのまま購入する方もいますが、注文住宅を一から依頼するという方も多いかと思います。その際、相談先として真っ先に挙げられるのがハウスメーカーや工務店などの建築会社です。
しかし、そもそもハウスメーカーと工務店とでは、何が違うのでしょうか?
今回は、住宅を建てる際に必ず必要となるハウスメーカーと工務店の違いについて解説します。これから夢のマイホームを建てようと思っている方は、両者の違いをきちんと理解しておくと安心です。ハウスメーカーと工務店、それぞれどのような建築会社なのかを解説するとともに、メリット・デメリット、どのような人におすすめなのかについてもご紹介します。
工務店とはどんな会社?
まずは工務店がどのような建築会社なのかをご紹介します。
工務店の概要
工務店は地域密着型として経営されているものが主流で、ハウスメーカーに比べると規模が小さい建築会社が多いです。一から作るオーダーメイド型といわれることが多く、規格化されていないものを一から作っていく形式で理想の住宅を建てられます。
工務店のメリット
以下が工務店の主なメリットとなります。
▼コストが割安になりやすい
工務店は原則として広告や宣伝にコストを割いていないことが多く、ハウスメーカーと比べても割安になることが多いです。予算が限られているという場合にも、工務店であれば柔軟に対応してくれる傾向があります。
▼設計の自由度が高い
工務店は設計の自由度が高いのも特徴です。ハウスメーカーはすでに用意されたパーツを組み合わせることで家を作るという流れが主流ですが、工務店は状況に応じて自由に設計していくことが可能です。より自由度の高さを求めるなら工務店がおすすめです。
▼地元の業者と連携している
工務店は地元の業者と連携していることが多く、足りないところはそれぞれの業者同士が協力して補っている場合も多いです。そのため、凝り固まった発想ではなく、より柔軟な発想が生まれやすいのも特徴となります。
▼土地特有の情報が多い
工務店は地域に密着していることが多いため、その土地特有の情報を持っている可能性が高いです。住んでいる人にしかわからない周辺環境のことはもちろん、交通機関や公共施設など、長く住むなら知っておきたい情報にも精通していることが多いです。
工務店のデメリット
併せて以下の工務店のデメリットも見ておきましょう。
▼スキルにばらつきがある
工務店は職人による施工が行われることも多いため、対応してくれる職人の方たちによって品質が左右される可能性もあります。逆にいえば、この世に1つとして同じものがない夢のマイホームを作りたいということなら、あえて工務店を選ぶという手もあります。
▼経営が不安定である恐れ
工務店は全国に数十万件以上もあるとされており、非常に競争が激化している状況です。そのため、工務店によっては家を建てた後で競争に敗れ、廃業に至ってしまう可能性もゼロではありません。特に、住宅は向こう数十年以上住むことになるため、万が一のことがあった場合に相談できるよう、息の長い業者を選びたいところです。
▼工期が長くなりがち
工務店は職人が一つひとつの工程を経て家を作っていくため、工場で建材を大量生産するハウスメーカーと比べても工期が長くなりがちです。平均すると約4~4.5ヵ月ほどはかかるため、すぐに家を建てたいという方にとっては心苦しい状況になるかもしれません。
▼モデルハウスやカタログが少ない
工務店は全国に拠点があるわけではないため、実例自体がハウスメーカーに比べて少ないです。そのため、どうしても参考にできるモデルハウスやカタログが少ない傾向にあるので、完成後のイメージを掴みにくいという点には注意が必要です。
▼工事保証やアフターサービスが少ない
工務店は法人として経営しているところもあれば個人事業主として経営しているところもあるため、ハウスメーカーに比べて点検や修理などのメンテナンスに対応していないことも多いです。
長い目で理想のマイホームを守っていきたい場合は、点検や修理が充実しているところを選ぶ必要があります。
ハウスメーカーとはどんな会社?
次にハウスメーカーがどういう建築会社なのかを解説していきます。
ハウスメーカーの概要
ハウスメーカーは全国展開で日本各地に拠点を持つものが主流で、工務店に比べると規模の大きい建築会社が多いです。選んで作るチョイス型とよばれており、規格化された部位ごとに選んで理想の家をカスタマイズしていく形式で家を建てられます。
ハウスメーカーのメリット
以下がハウスメーカーの主なメリットです。
▼スキルにばらつきがない
ハウスメーカーは工務店とは違い、工場生産による建材などを使うことが多いです。そのため、品質も常に一定のレベルを保っており、いつでもどこでも安定した品質の住宅が建てられます。職人のスキルも普段からの指導で一定の水準を超えていることが多いため、安心して家作りを任せられるでしょう。
▼経営が安定している
ハウスメーカーは大手ブランドも多く、誰もが一度は名前を聞いたことがある業者も多いです。工務店に比べて圧倒的に拠点も多いですし、何より知名度が高いからこそ多くの人に信頼されています。経営が安定しているという信用の面では、やはりハウスメーカーに軍配が上がるでしょう。
▼工期が短く済む
ハウスメーカーは工場生産された建材を用いることも多く、それによって工期が短く済みます。工務店に比べても1ヵ月ほど短く、約3.5ヵ月で完成することもあります。こればかりはどのような家にするかによって違いますが、極力工期を短くしたいならハウスメーカーがおすすめです。
▼モデルハウスやカタログが多い
ハウスメーカーは実績も経験も豊富で、全国に実例があります。そのため、必然的にモデルハウスやカタログも多く、それを見ながら決められるという点ではより完成後のイメージも掴みやすくて安心です。
▼工事保証やアフターサービスが多い
ハウスメーカーによっては定期点検や無料修理などメンテナンスが充実していることも多く、長く住む住宅を数年数十年と守ることが可能です。オーナーの方はもちろん、一緒に住む家族や親戚などを長い目で見て守っていきたいならハウスメーカーが最適でしょう。
ハウスメーカーのデメリット
併せてハウスメーカーのデメリットも知っておきましょう。
▼コストが割高になりやすい
ハウスメーカーは広告や宣伝に莫大なコストをかけているため、それ相応に割高になりやすいです。場合によっては工務店と数百万円以上の差が出ることもあります。まずは複数の業者に見積もりを出してもらい、慎重に吟味していくべきです。
▼設計の自由度が低い
ハウスメーカーはすでに完成されているパーツを組み合わせるような感覚で家を建てていくことが多いため、意外と自由度が低かったりします。自由に夢のマイホームを作りたいということなら、工務店の方が何かと融通をきかせてくれるかもしれません。
▼自社のみで対応している
ハウスメーカーは自社のみで充実したマンパワーを確保しているため、ほかの業者に頼らずとも自社のみで施工することが可能です。これはある意味で一貫していて安心なのですが、逆にいえばハウスメーカーの都合に左右されることもあるため、十分に打ち合わせや話し合いを煮詰めておくことが重要です。
▼土地特有の情報が少ない
ハウスメーカーは全国展開していて日本各地に拠点を持っているものの、広く浅く対応していることが多いです。実際に地元の要望に長らく対応してきた工務店に比べると、どうしても情報の密度が足りない場合もあるかもしれません。
工務店とハウスメーカーの違いは何?
ここまでハウスメーカーと工務店の概要を説明し、それぞれのメリットとデメリットを簡単に紹介してきたわけですが、実は両者に厳密な定義というのは存在しません。
実際に工務店であっても全国展開していて日本各地に対応しているところもあれば、ハウスメーカーでも地域密着型で地元にしか対応していないところもあります。経営や運営はもちろん、事業の規模もそれぞれ異なるわけです。なかには地域密着型なのに業者名が「ハウスメーカー〇〇」となっていたり、全国対応なのに「〇〇工務店」となっている業者も存在します。
それでも組織としての規模や対応している範囲などに違いがあるため、これから家を建てる方は両者を比較検討することをおすすめします。
工務店とハウスメーカーそれぞれオススメの人
では、具体的に家を建てる際にはどちらの方がおすすめなのでしょうか。これに関してはどのような家を建てていきたいのかはもちろん、どういう業者と今後も関わっていきたいのかということを考えて選びましょう。
たとえば、ゼロからすべて作るのが大変ということなら、少し予算が高くなったとしてもそれぞれ規格化された商品から選べるハウスメーカーがおすすめです。
しかし、その一方で、もっと自由に作りたいということなら予算を安くしつつ一から一緒に作れる工務店がおすすめとなります。
ハウスメーカーと工務店はそれぞれメリット・デメリットがあるため、上記で解説した内容をよく検討しながら「自分にはどちらが合っているのか」を考えて選びましょう。
まとめ
ハウスメーカーと工務店に厳密な定義は決められていないものの、それぞれメリットがある一方でデメリットもあります。こればかりは作る住宅ごとに希望がまったく異なるため、自分がどちらを使うかはよく検討すべきです。
もし迷った場合は、ハウスメーカーと工務店の両方に相談してみて、その中でより理想のマイホームを建てられそうな方を選ぶと失敗しないでしょう。すぐに決めてしまうのではなく、できる限り多くの業者に相談することが大切です。